第16章 たったひとつの (五条悟)
『恵くんの部屋はほんとに物が少ないね。』
「物欲ないからな」
『でも写真は飾ってくれてる。私この写真好きだよ。』
そう言ってベッドボードに飾ってある写真を見つめる。まだ小学生の俺たちが手を繋いで学校へ行くところを伊地知さんが撮ってくれたもの。
「お前すぐどっか行くから手繋いどけって言われてたもんな。」
『うん、恵くんがいなかったらどっか行っちゃってたかも』
「…」
写真を見つめたまま、冗談か分かんねえ声色で言うから堪らなく不安になってベッドに腰掛けるを抱きしめた。
『恵くんあったかいね。』
「どこにも行かねえって言え。俺を1人にしないって。」
『うん、恵くんのそばにいる。どこにもいかないよ。』
「俺は…の近くにいると落ち着く。」
『恵くんの甘えん坊は昔から変わらないね。』
「こんなのお前しか知らないよ。」
『可愛いね。甘えたな恵くん好きだよ。』
抱きしめたまま白い首筋に唇を添わせてゆっくり押し倒す。虎杖に抱かれていても、数え切れないほど五条先生と身体を重ねていても俺はいい。がここにいてくれれば俺は構わない。
『シたくなっちゃった?』
「うん」
『私これから悟のとこ…っん、んぁ』
「いつもキスだけで声漏らして堪んねえよな。…最初から抱くつもりで部屋に誘ったのに気づきもしねえし」
スカートから覗く綺麗な脚を開かせて既に勃ち上がった自身を押し付ける。
『めぐ、みくん…まって、』
「とはじめてシたのは俺って皆知ってる?」
『わかんな…っい、』
「俺、はじめてとシた日からお前しか抱いてない。」
なのにお前はって思うのは醜い独占欲。でもいいんだ。そばにいられるなら多くは求めない。たまに俺だけのでいてくれたら俺は満たされるから。
『あ…っぁ、挿って…る』
「ん、はあ…きっつぃ…ッ」
久しぶりに繋がれたことが嬉しくて指を絡めながら噛み付くようなキスを何度もする。中学に上がって少し経って津美紀が寝たきりになった。はそれまでよりも俺のそばにいてくれるようになって、今まで自分がに抱いていた感情が特別なものだと気づくのに時間はかからなかった。