第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side黒尾
「おい研磨さっきゲーム機触ってたじゃん」
「うん、別になくしてないからね。」
「は?」
『研磨くーん!座ってた席にはないみたい…そっちどう?』
1人懸命に研磨のゲーム機を探す。その後ろでわざとらしくカバンの中をゴソゴソと探す研磨。
「あ、ごめん…あった」
『え、ほんと!良かったあ…』
「ごめんよく探してなかったや」
『ううん、あって良かった!』
第1研磨がゲーム機をなくすなんてありえない。しかもカバンのいっちばん上に置いてあったの見えたし。なんのためにこんな嘘…、は?もしかして俺の為…?
「研磨さん…もしかしてこれって俺のためだったりします?」
「それ以外何があるの。感情顔に出しすぎ。が他の男と話したり連絡取るのは普通のことでしょ。いい加減慣れてよね。」
「ごめんありがと。」
「帰ったらアップルパイ奢って。」
「もちろんです」
ほんと研磨には頭上がんねえな…。
「プレゼントだってただのお礼でしょ。ってそういうの気にするタイプなんだからなんでもないって。考えすぎ。」
「うん。」
「タオルとボディシートなんてありきたりだし。運動部にあげるには丁度よかっただけでしょ。」
「そうだよな。」
「はあ…あのさ、まだ合宿はじまってもないんだけど。1週間その調子で行くわけ?」
「いやぁ…だって赤葦のこと名前で呼んでたしよ。」
「クロとの方が仲良いでしょ。負けてないって大丈夫だよ。」
「きゃんまあああああ」
「毎回慰める俺の気持ち考えて早く立ち直って」
「ひゃいっ」
まじメンタルサポーターすぎる研磨ぁああ!
そうだ、たかが1年坊主がのこと名前で呼んだだけ。プレゼントだってただのお礼。なんでもない。俺との方が仲良いですし!チャンスはまだある!