第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
あっという間に2度目の合宿。
今度は1週間の長えやつ。
都内に比べりゃ若干涼…いや変わんねえな。
虫うるせえし暑いしよぉ…。
『あっつーい』
パタパタと服を仰いでいる。時折見える白い肌。まっじで危機感とか皆無なのな…。
「ちょっとさん警戒心!」
『え、?』
「お腹見えてますよ。男ばっかなんだから気をつけてください。」
『わ、ごめん!』
「暑いのは分かるけどさ。女の子なんだからまじ気をつけて。ほんと気が気じゃねえから。」
『過保護てつろーだっ』
「なんとでも言いなさいよ」
他の男から変な目で見られるくらいなら過保護上等だわ。
「お、黒尾とだ!ヘイヘーイ!!」
結構な距離から俺たちを見つけて走りよってくる木兎。その隣には赤葦がいる。
「よぉ、今日も元気な」
「1週間バレーしっぱなしだぞ!こんなに最高なことはねえだろ!なあ赤葦!!」
「そうですね」
「孤爪は元気ねえの??今回の自主練は俺にトスあげてくれよ!」
「ゔ…っ」
俺の影で存在を消していた研磨を見つけて陽の光を浴びせる木兎。研磨の顔よ。なんつー表情だよ笑
『赤葦くんおはよ』
「おはようございますさん」
がやがやと騒がしい俺たち(主に木兎)の隣でと赤葦が話始める。てか赤葦いまさんっつった?前回の合宿さんって呼んでたよな?
「あれ、さん前髪切りました?」
『うん切った〜よく気がついたね』
「なんだか雰囲気が少し違うなって」
なんだなんだこのふわふわした空気感。ていうか俺だってそのくらい気づいてますう!なんなら切ったの3日前ですー!美容院帰りのと遭遇したので1番初めに気づいたのも見たのも俺なんですう!!
「クロ見すぎ。何が言いたいのかは分かったけどその顔やめな。赤葦にバレて先手打たれるよ。こいつ頭よさそうだし。」
「うっす…」
研磨の言う通り少なくともコイツらの距離感縮まってるし、縮めにいってるのは紛れもなく赤葦。恋愛なんて興味無さそうな顔してるくせになんなんだよ…。