第7章 夏の思い出
「・・私、泳いだ事無いんです。
プールに入った事もないし、勿論海も。」
あやか「・・・え?学校のプールも?」
私は頷く。
「水着を用意してもらえなかったので、万年見学でした。だから、、その、、ちょっと怖くて。」
口籠もる私を見て、あやかさんは優しく微笑んだ。
あやか「そっか、わかったよ。大丈夫やで?誰もともみちゃんを無理に泳がせたりせえへんから、安心して。な?侑君?」
「え?」
あやかさんの視線は私の後ろを見ていて、
振り向くとドアのところに侑君が立っていた。
侑「・・・ただいま。まぁ、、そう言う事なら俺らもいるし…大丈夫や。」
話を聞いていたのか、少し気まずそうにこめかみの辺りを掻きながら返事をする侑君。
あやか「てか侑君、汗ビショビショやん!早よシャワー浴びといで?」
確かに汗がしたたり、シャツまで汗で濡れている。
侑「あぁ、せやった!ほなシャワー浴びてくるわ。」
私は立ち上がり冷蔵庫からペットボトルのスポーツドリンクを1本取り出し、侑君を追いかけた。
「侑君っ!」
廊下を歩いていた侑君が振り向く。
侑「ん?」
「コレ、飲んでください。朝起きてから水分取ってないんじゃないかと思ったんで…。」
はい、とペットボトルを差し出した。
侑「ともみちゃん、マネージャーみたいやな。ありがと、助かるわ。」
ペットボトル受け取る侑君と一瞬目が合うもすぐに逸らされ、じゃ。とバスルームに入って行ってしまった。
・・・?
何だか少し雰囲気が違ったような気がするけど…。
気のせい、かな。
気になりつつも私はリビングに戻った。