第7章 夏の思い出
静かになったリビングで、私は平静を装う様にテーブルの上を片付け始めた。
無心で手を動かし、さっきの出来事は思い出さないようにした。
侑君は寝ぼけてただけだし、あれは事故だと思おう。
ゴミも全部捨て終わり、最後にテーブルを拭き終わったところで侑君が戻ってきた。
そのまま私の目の前まで来るとサッと正座をし、姿勢を正した。
「・・侑君?」
侑「ともみちゃんさっきはごめん!俺寝ぼけてて何も覚えてへんのやけど、、何か、、してもうた?」
こちらの機嫌を伺うように顔を覗き込む仕草が、まるで悪戯をした子供の様に見える。
危うく緩みそうになる口元をキュッと引き締めると、私も侑君の前に正座をし、背筋を伸ばした。
朝の5時過ぎに男女が床に正座で向き合っている光景はきっと異様だろう。
姿勢を正した私の姿が怖かったのか、侑君はゴクリと喉を鳴らした。
嘘をついてもしょうがないし、私はついさっきの出来事を全て話した。