第7章 夏の思い出
治君が炊飯器を抱えて戻ってきた。
倫太郎はチッと舌打ちをする。
治君は山盛りのご飯とお箸を手に私の隣にやって来た。
治「ともみちゃん、俺にも食べさせてー」
治君は前に屈みあーん、と口を開けている。
これは、、食べさせろって事かな…?
すると倫太郎君が網の端に避けておいた黒く焦げた肉を箸で掴むとそれを治君の口元へ運んだ。
倫太郎「あーん。」
治「あーん、ってアホ!こんなん食えるか‼︎」
倫太郎「・・ノリ悪。」
治「はー?じゃあお前はコレや!ほれ、あーん。」
今度は治君が串から外れ真っ黒に焦げたピーマンを掴み倫太郎君の口へ運ぶ。
倫太郎「あーん、って言うな。キモイ。」
治「キモイって何や!お前も言うてたやろ!」
一方ではそんな男2人のじゃれ合いに冷ややかなつっ込みを入れていた。
侑「アイツら男同士で何イチャついとんねん。」
あやか「ブフッ、2人共必死やなぁ。まぁ、ともみちゃん相手じゃ無理ないわ。」
侑「え?2人共って?」
焼きそばの皿が空になり、キョロキョロと食べ物を探す侑。
かよこ「侑君は鈍いわね〜。」
侑「・・・え?アイツらマジなん?」
かよこ あやか「「マジ(笑)。」」
侑「うわぁ、、、マジか。本気で女取り合ってうちのチーム大丈夫かいな、、、どっちかが勝っても負けても地獄やな。」
かよこさんは3本目の缶ビールを飲み干し、缶をグシャリと潰しながら、
かよこ「どっちにも靡かない可能性もあるわよー?」
ニヤリと笑うかよこが悪魔のように見えた侑はブルッと身震いする。
侑「え。どっちも振られるってパターン?」
確かに…。
あの恋愛事に興味なさそうなともみちゃんを落とすんは容易じゃないやろな、と同情の目を2人に向ける。
そうは言っても、未だ自分は本気で人を好きになった事がないし、好きになろうとも思わない。
口では彼女が欲しい、とか言うけど実際は女なんてバレーするのに邪魔なだけやし、遊びで充分やと思ってる。
・・せやのに、治や角名を見てると時々羨ましく思う事があるのは
気のせい、、ではないのかもしれへん。