第7章 夏の思い出
網の上では肉と野菜を刺した串や、新鮮な海老やホタテが焼かれ、辺りには食欲をそそる匂いが立ち上っている。
侑「めっちゃ美味い‼︎あー最っ高や‼︎」
治「ヤバいな!あー米食いたい。ともみちゃん、米ってある?」
海に行っていた2人は肌が少し焼け、赤くなっている。
相変わらずの食べっぷりに驚かされる。
「炊けてますよ。キッチンに炊飯器があるので、よそって来てもらっていいですか?」
私はトングで網の上の海老を裏返す。
治「りょーかーい」
侑「サム、俺のも頼むわ。」
倫太郎「俺も。」
あやか「じゃあ私も!ちょい少なめで!」
テラスに向かおうとしてた治君に次々と声が掛けられていく。
治「そんなに持てるかいっ!ったく炊飯器ごと持ってくるわ。」
ぶつぶつ文句を言いながら治君はキッチンの方へ入って行った。
かよこ「みんなご飯食べるのも良いけど、私の作った焼きそばも食べてよー?」
かよこさんはビール片手に、鉄板で焼きそばを作ってくれている。
侑「勿論すよー!俺焼きそばおかずに米食えるんで。」
もごもごと口の中いっぱいに食べ物を詰め込む姿はハムスターみたいだ。
あやか「ブッ、ホンマよう食べるな?」
「フフッほんとですね。でも気持ちの良い食べっぷりです。」
かよこ「ハーイ!焼きそばも出来たわよーお皿持って来てー!」
ワーイ!と侑君とあやかさんがかよこさんの方へ駆け寄って行く。
私の目の前の網ではホタテが良い具合に焼き上がった。
「倫太郎君、ホタテ焼けたよ?」
倫太郎「お?じゃあ一つ貰うわ。」
「汁が熱いので気を付けてください」
倫太郎君はアチッと言いながらも美味しそうに頬張っている。
倫太郎「すげー美味いよ。ほら、ともみも口開けて。」
「え?」
倫太郎君は食べかけのホタテを私の口元へ運ぶ。
・・食べろって事、かな?
倫太郎「ずっと焼いてて食べてないでしょ?
ほら、あーん。」
少し恥ずかしいけど、せっかくの好意を無碍に出来ないと思い口を小さく開けた。
倫太郎「フッお利口さん。」
熱くてモゴモゴと食べている私の顔を倫太郎君は艶っぽい笑みを浮かべながら見ている。
は、恥ずかしい…!
治「あー!角名っ!俺が居らん間に抜け駆けすんな!」