第32章 侑end
「・・夏希さん?どこに⁇」
私もつられて腰を浮かすと、夏希さんは肩越しに振り向き片眉を上げた。
夏希「あなたとはもう話す事、ないし。
顔も見たくないから帰るわ。」
「帰るって、、えぇっ?3人で話をするんじゃないんですか⁇」
夏希「今更3人で仲良くお喋りなんてするワケないやん。
・・ここまで私がお膳立てしたんやから後は上手くやるんやで?
じゃ、もう二度と会うこともないと思うけど。」
背を向け外に出ようとする夏希さんに、私は慌てて声を掛けた。
「試合っ!・・また観に行ってあげて下さい…夏希さんの応援、、きっと嬉しいと思います…!」
夏希「・・お人好し…」
背中越しに小さく呟き、夏希さんは出て行った。
ピシャリ、と閉まった引き戸を見つめる。
言葉では強い事を言っていたかもしれないけど、それは全て侑君を強く想う気持ち故。
そんな彼女が最後に恋敵である私の背中を押してくれた…。
「ありがとう…夏希さんーーー」