第32章 侑end
おにぎり宮
治「ツムが来たら俺ら出てくから。」
スーツ姿から私服に着替えた治君がカウンター席に座る私に視線を向けた。
治君と夕子ちゃんは私達が話をしている間、近くの居酒屋にいるという。
「うん、ごめんね?お店借りちゃって。」
治「ともみちゃんが謝ることちゃうし。
その分ツムからふんだくるから大丈夫や。」
ニッと悪戯っ子のような笑顔を見せた。
佐々木「いーい?何かあったらすぐに電話すんねんで?飛んで戻ってくるから!」
「フフッ、ありがとう」
私は緊張を落ち着かせるようにぎゅっと手を握りしめて息を吐いた。
私も今の気持ちをちゃんと伝えよう。
今更都合の良い事言うなって罵られるかもしれない。
夏希さんの怒りを煽ってしまうかもしれない。
けど、このまま気持ちを押し殺したら、私はまた昔の私に戻ってしまう。
私はもう、人形じゃない。
結果はどうあれ、自分の気持ちに向き合うんだ。