第32章 侑end
佐久早「侑が話したいって言ってるけど、どうする?嫌なら切るけど。」
「き、切る?いえ、、出ます…。」
極端な物言いの佐久早選手に驚きつつ、携帯を受け取ると、耳にあてた。
「・・もしもし?」
侑「・・ともみちゃん?さっきはホンマにすまんかった…。怪我、大丈夫なん?」
「・・・っ」
電話越しに聞く侑君の声があまりに懐かしくて、つい言葉を詰まらせてしまった。
侑「・・痛むんか?」
何で…?
侑「側に居れんくて、ごめんな…。」
何でそんな優しい声で話すの…?
侑「・・えっと、、声、聞きたいんやけど…」
私は大丈夫だから夏希さんについていてあげて。って言いたいのに、、明るい声で振る舞いたいのに、、、
喉まで出てきた言葉は声にならなくて…。
「・・・ッ」
目から一筋、涙が溢れた。
・・違う。
本当は、本心は…
侑君に「もう大丈夫」って抱きしめ欲しかった…
またあの大きくて優しい手に触れたかった…
ずっと蓋をして閉じ込めてた思いが一気に溢れてくる。