第32章 侑end
佐久早「なのに、自分から巻き込まれに行くなんて俺はどうかしてる…。」
黒い瞳が揺れ、言葉にため息が交じる。
「そ、そんな事言わないでください!佐久早選手が来てくれなかったらもっと酷い修羅場になってたと思います…!
だから、来て下さって、ありがとうございます!」
繊細なのか、はたまたネガティブなのか、肩を落とす佐久早選手を見ていられず、大きな声を出してしまい、ズキっと背中に痛みが走る。
「痛っ、、」と顔を歪める私を佐久早選手は眉を寄せじっと眺めている。
佐久早「・・今日会ったばかりで言うのもアレだけど、、あんたってお人好しだな。」
「そう、、でしょうか…?」
ははは、と苦笑いを浮かべた。
佐久早「・・でも、そういうの嫌いじゃない…。」
ボソッと呟いたその顔は、先程までとは違って穏やかに見えた。
その時、携帯の振動音がし、佐久早選手は携帯を手にすると瞬時に表情が曇った。