第9章 文化祭
トイレから出るとなるべく人に会わないよう、下を向きながら教室に戻り鞄を手に取る。
ふと窓の外に目を向けると、キャンプファイヤーの炎を中心に沢山の生徒達が集まり盛り上がっていた。
後夜祭は生徒にとって特別な時間だ。
想いを伝える人も多いらしい。
想いが通じ合う人もいればそうでない人もいる。
ふと窓に映った自分の姿を見る。
少しは変わったかな、なんて思っていたけど、そこに映る自分は昔と変わらない、辛気臭くて暗い顔をした自分がいた。
・・・帰ろう。
鞄を肩に掛け、ノロノロと足を引き摺りながら廊下を歩く。
すると、階段の下の方から人の話し声が聞こえて来た。
誰か上がって来る、と思い私は足を止めて教室に戻ろうかと踵を返した時だった。
「侑君、最近全然遊んでくれへんかったのに、今日は珍しいな?そんなに試合に負けたんが悔しかったん?」