第9章 文化祭
それからしばらく、私は暗い階段の下で座り込んでいた。
膝からは血が滲み顔もヒリヒリする。
「私にどうしろって言うの…。」
思わず溢れた言葉と同時に涙が頬を伝う。
頬の傷が涙に濡れてヒリヒリと痛んだ。
自分の気持ちに気づいたくせに…。
侑君には振り向いてもらえないのが分かってるから、傷つくのが怖くて治君の優しさに甘えていたんだ。
今日だってハッキリ手を繋ぐのを断れば周りにも誤解されないで済んだのに。
私、最低…。
こうなったのも自分で撒いた種が原因だ。
その時、スカートのポケットに入れていた携帯が振動し、画面を見ると夕子ちゃんからの着信だった。
私は一呼吸置き、ボタンをタップする。
「・・もしもし?」
佐々木「あー良かった!ともみちゃん、今どこ?後夜祭始まるで⁇」
・・・そうだった。
「・・・夕子ちゃん、、ごめんなさい。私ちょっと具合悪くて。後夜祭、出れそうにない…。」
夕子ちゃんには申し訳ないけど、今は誰にも会いたく無いし、こんな顔を誰にも見せたくない。。
佐々木「えっ⁈大丈夫なん⁇何か、、声もおかしいな?」
「うん…大丈夫。ほんとごめんなさい…。」
佐々木「・・そんな謝らんでええよ。コンテストは体調不良で辞退するって事で伝えとくわ。こっちの事は気にせんと、早よ帰って休んで?」
「・・・ありがとう。」
そしてごめんなさい、と心の中で呟き電話を切った。