第9章 文化祭
治「お、角名。今悪い奴らから逃げてきてん。てか腹減った〜!たこ焼き食わせて?」
治君はスタスタと教室の中へ入って行ってしまった。
倫太郎「・・悪い奴?」
倫太郎君が眉をしかめて私に聞いてきた。
「うーん。どっちかって言うと治君の方が悪いかも…」
苦笑いを浮かべる私に倫太郎君はハァ、とため息を吐く。
そんな倫太郎君の雰囲気がいつもと違う事に気づいた。
黒のサテン生地のシャツに黒のパンツ。
シャツの襟は鎖骨がくっきり見えるぐらい開かれ、髪型もちゃんとセットされている…
「倫太郎君、その格好…」
ジーっと見つめる私に気付き、倫太郎君は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
倫太郎「・・ホスト。うちのクラス、男がホストのカッコして接客してんの。」
「え、倫太郎君がホストで接客(笑)?」
普段の倫太郎君からは想像出来ず、思わず聞き返してしまった。
倫太郎「俺はすっげー嫌だけど。侑はノリノリでやってるよ。」
「・・侑君は何か想像出来るかも。」
だな、とお互い顔を見合わせる。
倫太郎「それにしても、ともみはここ数日ですっかり有名人になっちゃったな。」
「・・・こんな筈じゃなかったんだけど。。」
倫太郎「だろうな。」
「あ、そう言えば午後の紅白戦、観に行くね?」
倫太郎「お、マジ?んじゃ頑張るわ。」
倫太郎君にも会えたし、このまま自分のお店に戻ってしまおうか、と考えていると、治君がタイミング良く教室の中からひょこっと顔を出した。
治「ともみちゃん!早よ入り?オモロいもんが見れるで?」
「オモロいもの、、?」
倫太郎「・・また侑か。」
渋々教室に戻っていかに倫太郎君に続き、私も中に入った。