第9章 文化祭
治「よっしゃ!ほなその前に腹ごしらえや。確かツムと角名のクラスがたこ焼き屋やってたし行こか?」
「え。」
ほら行くでーと前を歩いて行ってしまう治君を私は慌てて追いかける。
けど、こんな時に限って知らない人から声を掛けられてしまい、
「原ともみちゃんやんな?うわっ!写真で見るより実物可愛えな!」
「俺、コンテスト君に投票したで?せやから記念に一緒に写メ撮ってーや。」
「え?いや、今はちょっと…」
治君の後を追いかけようと断ろうとするも、肩を抱かれ携帯を向けられてしまう。
「ほら撮るで〜って、、オイ‼︎何すんねん⁉︎」
治君が男の手から携帯を取り上げ、怖い顔で見下ろしていた。
治「勝手に撮んな。」
「は?写メぐらいええやろ!てか携帯返せや!」
治君は私の手を取るとぐいっと引っ張り耳元に口を寄せた。
治「走るで?」
囁かれた言葉を理解するより早く、治君が走りだした。
治「ほら、携帯返すで〜?受け取りや〜!」
治君は後ろを振り向き、走りながらポーイと携帯を放り投げた。
後ろからは「ふざけんな!」とか怒声が聞こえたが、私は振り向く余裕もなく夢中で走った。
ようやく治君が足を止めたところは侑君と倫太郎君のクラスの前だった。
ハァハァ、と息を切らす私とは逆に涼しい顔の治君は笑っている。
治「ハハッ!ともみちゃん相変わらず体力無いな〜めっちゃ息切れしとるし。」
「だ、だって急に走り、、出すからっ、、」
治「ごめんな?あんなトコで喧嘩売られたら面倒やと思ってついダッシュしてもうた(笑)」
「でも、、ありがとう。」
治君の笑顔につられて私も口元を緩ませて笑った。
倫太郎「治、ともみ連れ回して何してんだよ?」
そこに、もう1人涼しい顔をした倫太郎君が教室から出て来た。