第9章 文化祭
それから私達はあやかさんのクラスに顔を出した。
パッと手を離す私を治君は不満そうに見ていたが、あやかさんがちょうど出迎えてくれたので助かった。
あやか「ともみちゃんと治君やん!来てくれたんやね!」
「縁日やるって聞いてたから気になって。」
入り口であやかさんと話していると、治君は女の先輩達にあっという間に囲まれてぐいぐいと教室の中に連れて行かれてしまった。
「宮治君の方やんな?間近で見るとホンマ背高いな〜!」
「治君一緒に写真を撮って〜♡」
「ずるー!私も私もー‼︎」
動物園のパンダ状態だった…。
あやか「てかコンテストの1位の2人が一緒におって大丈夫なん?噂になってるんちゃう?」
小声で話すあやかさんに、私は困ったように頷いた。
あやか「ハハッ、まぁ治君にしてみればともみちゃんを見せびらかしたいんやろな。
でも、気をつけた方がええで?うちのクラスにも宮兄弟のファンクラブの子、おるから。」
あやかさんが向けた視線の先には、先日体育館で出待ちをしていた女の先輩がいた。
見覚えのある茶髪にロングヘア… 。
この前睨んできた人とはまるで別人のように、今は顔を赤らめ治君と楽しそうに話をしている。
「・・私、刺されますかね…」
あやか「んー。ここで2人でイチャついたらなくもないかな。」
冗談なのか本気なのかよく分からないが、ここに2人で一緒にいたらマズい気がする。
「あれ、治ちゃうん?」
入り口に立つ私の後ろから声が聞こえた。