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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



旅行だけでなく、家族で引き続き過ごせる事を純粋に嬉しく思いながら光臣が口元を綻ばせていると、少年がふと母を見て首を傾げた。

「ところで、牛乳は何に使うのですか?まさか先程の抹茶と蜜の件に関わりがあるのでは……?」
「そうそう!鴇くん用に抹茶ラテ作ろうかなって。きっと臣くんも好きな味だと思うよ」
「まっちゃらてってなに?たべれる?」
「食べるっていうより、飲む方かな」

暖めた牛乳に糖蜜と抹茶を混ぜれば、きっと幼い光鴇でも飲める甘さやまろやかさになる。実は密かに甘党な光臣も好むだろうと考えを巡らせ、凪が笑った。

「そうと決まれば、市が開いている間に下城する必要があるな。渡す土産はあと幾つ残っている?」
「えーと、城勤めの人達には大まか渡しましたし、織田の重臣の皆さんにもそれぞれ渡し終わったので、あとは秀吉さんです」

市は早朝に開いて夕方には大抵終わってしまう。まだ八つ刻前とはいえ、そうのんびりもしていられないだろう。光秀の問いかけを受け、凪が指折り数えながら土産を渡す面々を思い浮かべた後、残った一人の名を挙げた。ちなみに自身の領地へ帰っている政宗、家康、三成は、後日大阪城に集まる用事がある為、その際にでも渡そうと思っている。慶次と蘭丸は現在大阪城に信長と共に居る事から、光秀が後日渡してくれるだろう。

「重臣の皆さん、焼き八ツ橋喜んでくださって良かったですね」
「ばーむくーへんとやらでなかった事を些か残念がっていたがな」
「もうちょっと個数買ってくれば良かったですね……持って帰るの大変だっただろうけど」

織田家の重臣達へは焼き八ツ橋の抹茶味や苺味、チョコ味などがセットになったものを渡した。他の者達から耳にしたバームクーヘンの話題に、若干興味をそそられていたようであったが在庫の関係上、致し方ない。土産屋の抹茶バームクーヘンの在庫をごっそり買い上げたと言っても過言ではなかった凪達に、周囲の客はさぞ目が点になっていた事だろう。

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