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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



真っ白な生クリームと水色のチョコで出来た桔梗の花が一面に飾られたそれはとても愛らしく、中央のプレートには誕生日を祝うメッセージが添えられていた。

(改めてこうやって見ると可愛い……!写真撮っておこっと)

食べ切れるサイズという事で、五号とやや小さめなホールケーキだが、家族四人で食べるならばちょうどいいサイズ感だろう。色とりどりな細長いろうそくを袋から取り出し、均等になるように立てて行く。

「わあ、すごい!」
「きれいですね…!これが生まれ日用のけーきですか」
「そうだよ、後で皆で切って食べようね」
「とき、なにする?けーき、もってく?」
「それは危険過ぎる、止めておけ」
「むっ」

ろうそくを立てている最中、手洗いを済ませた二人が台所へとやって来て、感嘆の声を上げた。ケーキ屋のディスプレイに並んでいた、どのケーキよりも美しいそれへ兄弟が眸を輝かせる。そわそわした光鴇が首を傾げて問うと、苦笑した光臣によって軽く窘められた。眉間を顰めて不満な色を浮かべた幼子を見て、凪が声を潜めながら二人に告げる。

「今からこのケーキのろうそくに火をつけるから、そうしたら二人は襖を開けて、電気……えーっと壁についてる四角いのを押してくれる?」
「でんき……天井の行灯の事ですね。分かりました、じゃあ俺はそっちを消します」
「じゃあとき、ふすま、ばーんってあけるね!」
「そこは静かに開けるべきだろう」
「ん?」

ろうそくと言えば灯りを消すのが鉄板だ。凪の指示を受け、兄弟がそれぞれ頷いた。そうしてすべてのろうそくを立て終えると、台所に用意されていたマッチを擦って火を点け、すべてに灯りを灯して行く。ぼんやりとした馴染みのある光がケーキを橙色に照らし、煌々と輝いた。

「よし、じゃあ二人共お願いね」
「お任せください」
「ばーん!」

母が合図を送ると、光臣が頷いて動き出す。光鴇が普段御殿でやっているよりかは大人しめな調子で襖をすぱーん!と開けば、既にテレビは電源が落とされていた。

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