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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



【こんばんは、凪さん。家族旅行は楽しめてる?ちなみに俺は謙信様に頼まれた越後の銘酒と梅干しを買いに、新潟までひとっ飛びして帰って来たところだ。そうそう、明日のワームホールだけど、俺の観測上99.9%の確率で正午、本能寺跡石碑前に発生予定だから、それまでには待ち合わせ場所に集合していて欲しい。今回のワームホール以降、またしばらくは発生しない見込みだから、思い残す事がないよう、思いっきり楽しんで。それじゃあ、また明日】

「新潟まで行ったんだ……三日間で大旅行だなあ、佐助くん」

京都から新潟といえば、現代でもそこそこの距離がある。もっとも、移動手段が豊富なだけに不可能ではないだろうが、よもやお土産の為に京都を飛び出していたとは驚きだ。明日の正午にしっかりワームホールが現れる事を伝えられ、凪が片付け終えた荷物を見回した。行きよりも増えた荷物は、こちらで買った衣服などを除くと大概が土産品である。その中に紛れる、クラフトの紙袋を目にして残る誕生日祝いに気合いを入れ直した。

(動物園も楽しかったし、ご飯も美味しかった。お風呂も皆で入れて気持ち良かったなあ。後はプレゼントとケーキで光秀さんにサプライズだ!)

恐らく光秀は寝室へは寝るまで立ち入って来ないだろう。入り口付近にクラフトの紙袋を置き、凪は何事もなかったようにスマホ端末を手にして居間へと戻った。

「佐助くんから文が来てましたよ。明日、予定通りにワームホールが発生するそうです」
「そうか、それは何より」
「はい。……あれ、鴇くんお絵描きしてるの?」

居間ではテレビがついていて、光秀と光臣はそれを座椅子に座りながら眺めているようであった。光秀の隣、座卓の前には光鴇が居て、動物園で買ったスケッチブックとクレヨンで、早速お絵描きをしているらしい。ちなみに光秀が気遣ってくれたのか、座卓がクレヨンで汚れないようと、スケッチブックの下にはしっかりと新聞紙が敷かれていた。

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