• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第5章 掌中の珠 後編



「やれやれ、気付かれたか」
「ふふ、そうですね」

寄り添う身体は離す事なく、湯の中で再び手を繋ぎ直す。光鴇が凪達の居る檜の浴槽へざぱん!と勢い良く入って来たのを目にしながら、光秀が肩をゆるりと竦めて凪の耳元へ囁いた。

「どうやら、子らが離れて行くのは当分先の事になりそうだな」
「その分だけ、毎日賑やかで幸せな気分になれます」
「違いない」

その喧騒が心地よいと感じてしまっている時点で、既に離れがたいと思っている証明のようなものだ。凪の言葉に笑みを零した光秀が同意を示すと、二人は息子達を抱き締める為、それぞれ手を伸ばしたのだった。


────────────⋯


優雅に露天風呂を思い切り満喫した後、寝間着へとそれぞれ着替えた明智家は仲居が運んで来てくれた豪華な夕餉を揃っていただいた。家族が食事をしている間に、寝室の方で寝床を整えてくれたとあり、後は夜をゆっくりと寛いで眠るだけである。旅館が用意してくれたのは趣向を凝らした創作和食であり、味だけでなく、見栄えもたいそう美しく、子供達や凪自身も大満足の食事だった。

夕餉を食べ終えた後、仲居が再び膳を片付けてから凪は明日に備えて荷物の整理をしに、一度寝室へと向かう。四人分の布団が川の字にぴったりと並んでいるのを見て、つい笑みを零した後で衣服などを畳み直した。

(明日は本能寺跡石碑前に集合だから、また着流しで出る感じかな。こっちの洋服は記念に持って帰ろう)

ふと傍に置いていたスマホ端末を確認すると、通知が一件来ている事に気付く。ディスプレイを見ればそこには眼鏡の絵文字が登録名となったメッセージが表示されており、差出人を即座に察した。

(佐助くんからだ。明日の再確認かな?)

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp