【MARVEL】This is my selfishness
第5章 5th
「もしかして口説かれてるのか?俺は」
『えっ、いや!そうじゃなくて!!』
含み笑いをするサムさんに慌てて否定する。
否定しながら、ずっとモヤがかかっていた部分が晴れていく。
そうだ、この人は…
『新しいキャプテン・アメリカさん!』
つい大きな声が出てしまった。
どこかで見たと思ったら!そりゃ見たことあるよ!!!
つい最近、新しいキャプテン・アメリカになったと思ったら、また新しいキャプテン・アメリカに変わったというニュースを見た。
その新しいキャプテンはとても人間味があり、暖かい人だと思った記憶がある。
とはいえ、ニュースに出ていたキャプテンはゴーグルをしていた為、素顔を想像していなかった。
わたしの声に驚いたのか、2人が目を丸くしていた。
待って。その新しいキャプテン・アメリカと友達のバッキーって…何者?
『2人ってどういう経緯でお友達に…って聞いてもいい質問ですか?』
バッキーとサムさんの顔を交互に見ると、サムさんが口を開いてくれた。
「共通の友人がいてな。その繋がりで。今は同僚でもあるかな」
サムさんから視線を受けたバッキーは頷きながらわたしを見る。
なるほど…
『だから2人とも姿勢が良いんですね』
軍人さんらしいというか、何と言うか。
変にキビキビしすぎている訳でもなく、動きがスマートというか。
リラックスしているであろう時でさえ、だらけていないような雰囲気。
歩く時もポケットに手を突っ込んでいようがいまいが、猫背にならない。
はあ〜納得。
オペラとガトーショコラを交互に食べながら、1人納得していた。
「何だか変わった奴だな」
サムさんが笑いながら言うとバッキーが「そこが良いんだ」と得意気に返す。何故バッキーが得意気なのかはわからないけど、まぁ「そこが良い」と言われて悪い気はしない。
『キャプテン・アメリカもオフってあるんですね』
「一応な。オフと思っていても気は抜けないが。キャプテン・アメリカという対象に、もしくは俺がキャプテン・アメリカであることに不満を覚える人だっているし、こうしてる間にも悪い奴らが動いてるかもしれない」
そう話すサムさんの顔はキャプテン・アメリカそのものだった。