【MARVEL】This is my selfishness
第5章 5th
『や、違うよ?!信用してないとかじゃないからね?』
俺に向かって必死に弁解しようと慌てる様が可愛らしくて、つい意地悪をしてやりたくなる。
口角を下げて見つめると、ミアが余計に慌てる。
『本当に重くないから大丈夫ってだけだよ??わたしの荷物だから持ってもらうのも申し訳ないし!催涙スプレーも入れてるからわたしが持ってないと意味無いでしょ?』
ポケットがついてないスカートだからスプレーだけ持つのも出来ないし、とミアが付け足す。
「催涙スプレー?」
『バッキーに持つように言われてて』
サムの疑問にミアが俺越しに答えると、後ろでサムが吹き出した。
「そ、そうか。バッキーがね」
プクク、と笑いが漏れているサムを睨みつけるが、まるで効いてない。
「…良いから行くぞ」
ミアの腰に手を当てエスコートし、サムを無理やり階段の方へ押しやる。
全く……
「自己紹介がまだだったな。サムだ。サム・ウィルソン。サムと呼んでくれ」
カフェでも、と言っていたけどここら辺で何か良いところはあるかと聞かれ、気になっていたカフェを案内した。
カフェに着いてテラス席に座るとサムさんが自己紹介してくれた。
「ミア・ミラーです。ミアって呼んでもらえれば」
右手を差し出されたので握手を交わす間、日差しが眩しいのか、バッキーが眉間に皺を寄せていた。
「悪かったな。誘った割に店を知らなくて」
『いえ、わたしも気になっていたお店に来れたので』
運ばれてきたコーヒーは熱くてまだ飲めないけど、良い香りが漂っている。
バッキーもサムさんも熱いのは平気なのか、少し息をふきかけただけで飲んでいた。
…何となくバッキーは猫舌そうって思ってたのに。裏切られた。そういえばお茶会の時もすぐに口をつけてたな。
ふと周りに目をやると美味しそうなオペラを食べている人がいて欲しくなった。
『わたしちょっとケーキ見てきますね。何か食べたいものがあれば見てきますけど…』
「ああ、だったら俺も───」
サムさんが立ち上がろうとした時、2人の女性がサムさんに声をかけた。