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【MARVEL】This is my selfishness

第5章 5th



何度も言うけど、わたし友達らしい友達がいないんだってば。
と、心の中のわたしがぶすくれる。



「友達ね…」

『あ、一緒に帰ってくれてありがとう』




1人で早歩きで帰っていた道程も、バッキーがいるだけで全く怖くなかった。むしろこの時間がもう少し長ければいいとさえ思った。
手を繋いだまま無言になった時は少しドキドキしたけど、バッキーはきっとただわたしの手を暖めてくれようとしていただけだろう。

いつも彼の心遣いに救われている。




「また飲みに行くよ」

『うん。いつでも来てね。おやすみ』

「ああ、おやすみ」





2人で挨拶を交し、鍵を開け玄関に入った。



バッキーが暖めてくれていた左手はゆっくりと冷えてきたけど、彼から貰った心の温もりはしっかりとわたしの中に残ったままだった​───────
















バッキーが初めてお店に来た日に、ロンさんからお風呂の後に塗るといいと言われたボディオイルや、スキンケアのための化粧水や乳液を使ってみた。



少しずつ効果が出てきたのか、前より乾燥が抑えれてる気がする。




鏡で肌を確認していると今まで聞こえたことの無い声が外から聞こえた。



「じいさん!おい!無視すんな!!」



?じいさん??


そう呼びかけながら扉をノックする音が近くで聞こえる。
位置的に階段を挟んだ向こう側ではなく、わたしの部屋と同じ列​───────つまりバッキーの部屋だ。


部屋を間違えるにしても今このアパートにはわたしとバッキー以外住んでいない。
もしかしたら以前ここに住んでいた人の知り合いとかかも。





玄関を開けて声をかける。


『あの〜…』


わたしの方を振り返った人に若干の見覚えがある気がした。



『そこに住んでる人、おじいさんじゃないですよ』

「106歳はじいさんだろ?」


背が高く、綺麗に剃られた髭が印象的な黒人さんはバッキーの部屋を親指でクイッと指しながら言う。


106歳…バッキーの口からも出たことがある気がするけど……バッキーの見た目は30代くらいだし…。



何と説明したものか…と口を噤んでいると、その黒人さんが何かに気づいたように口を開いた。






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