【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
「Hey!もしかしてミアじゃないか?」
バッキーが見えている視界を遮るように男性が目の前に現れる。
『え…?』
その男性に首を傾げる。
見覚えがあるような、ないような…。
「ベンだ。ベン・ジョンソン。施設で一緒だったの、覚えてない?」
ニカッ!と黒い肌によく映える白い歯を見せて笑う男性に、だんだんと記憶が蘇ってくる。
『ああ!ベン!えっ、久しぶり!』
トイレに行く人の邪魔にならないように、今しがた思い出した彼を少し横にズレるよう押して合図をして2人でトイレの出入口横に移動する。
「思い出してくれた?」
『うん!すごい、身長伸びたね!』
「だろ?ミアは縮んだ?」
『失礼な。これでも伸びたんだから』
4つ下のベン。わたしより年下だけど、施設にいた歴としては彼のほうが先輩だった。2年ほどしか施設にいなかったわたしと仲良くしてくれた男の子。施設を出てからは全く連絡を取りあっていなかった。
「服のイメージが違ったからマジでミアかちょっと迷った」
『ふふ、今日だけね。こういうお店来るの初めてで…知り合いが選んでくれたの』
「ああ、なるほど。似合ってる」
『ありがと〜!ベンは?いつも来てる?誰かと来てるの?』
「俺は結構出入りしてるかな。今日はダチと来てる」
『へえ〜!そうなんだ、』
と、話しているとスッとバッキーが間に入ってくるようにしてわたしの腰に腕を回す。
『ゎ、』
「えっと、?」
バッキーの登場にベンが固まる。
『あ、わたしの友達。一緒に来てくれたの』
そう紹介すると、バッキーは名乗りながら手を差し出す。
『バッキー、こちらベン。施設で一緒だったの』
今度はバッキーにベンを紹介すると、「施設で虐められてた時にミアが助けてくれて。それから俺ずっとミアのあとついて回ってたんだ」と言いながら握手する。
『そんなことあったっけ』
「あったよ!俺からしたらすごい革命だったんだから」
『革命って』