【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
「ミアは何気なく人を助けるから」
そんな大袈裟な、と思っているとバッキーが「ああ、確かにな」とベンに同意する。バッキーにまでそう思われているとは知らず照れてしまう。
そこでベンを呼ぶ声が聞こえて、ベンも「行かなきゃ」と言う。
「あ、そうだ。連絡先交換しとこーぜ」
『うん、もちろん』
スマホを取り出し連絡先を無事交換して、ベンは「今度どっか行こう!」と言いながら手を振って別れた。
フロアに戻り、言っていたダンススペースのほうへ向かう。
バッキーがわたしの肩を抱くようにしながら、人の隙間を縫うように壁際へ連れていってくれる。
さすがにすぐに皆のようにノリノリで踊ることは出来ないけれど、大きな音楽に自然と体は揺れる。
「いじめられてる所を助けたって?」
向かい合うバッキーが音に負けないように耳元で話す。
それを真似て、わたしもバッキーの耳元で先程の話から少しずつ思い出したことを話す。
『施設にね、人種差別する子がいて。その子がボスみたいに振舞ってたの。職員の人もみんながみんな優しい訳じゃなくて』
施設でもそう簡単に【みんな仲良く】とはいかないのか、わたしが入った頃、すでにベンは黒人だからという理由だけで孤立させられていた。
彼はわたしが助けたと言うけれど、わたしがしたことと言えばベンと変わらず接していただけ。
ベンを叩く相手の子を殴り返して撃退したとかじゃない。
「…それだけで助かる奴もいるさ」
目を細めるように優しく笑いながら、バッキーはわたしの頬を指の背で撫でる。
『…そうだといいな。もっと何か出来たら良かったけど…あの子が今、友達がいるならいいかな』
わたしより友達いるね、きっと。と笑うとバッキーも可笑しそうに笑った。
『あ、ねえ、そういえばわたしがトイレから出た時、声掛けられてたでしょ?』
それを見てすぐにベンが声を掛けてくれたから、その後どうしたのかを見ていない。
腕に抱きついているようだったし、やっぱり逆ナンってやつだったのかな。