【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
ササッと行っちゃおう。見ないようにしながら。
と、その前に。
『これ、返しとくね。ありがとう』
「いや、」
肩に掛けさせてもらっていたジャケットを返す。
さすがにトイレに持って行くのは気が引ける。そう伝えても「気にしない」という彼に『わたしが気にするの』とジャケットを押し戻されないように強気で返した。
ミアを女性用トイレの所まで送り届けたバッキーはジャケットを着ながら、ミアが出てきてすぐに自分の姿を見つけれるであろう場所に壁に背を預けるようにして待機する。
用を足したい訳ではなく、ミアを少しでも1人にしないための口実だった。
任務が終わり、電話をかけた時、『待ち合わせをしたい』と言われてあまり理由にピンと来なかった。
昔からデートをする時は相手の家まで迎えに行っていたからだ。それが普通だったし、男として当たり前だと思っていた。
しかし、ミアに『お願い』と言われてしまうと断れなかった。
人に甘えることや頼ることを知らないのか、あまり自分から誰かに頼ることをしない彼女。そんな彼女からあんな風に『お願い』されてしまえば断れるわけがなかった。
目的地であるこの店までバイクを走らせ、到着した時。
男2人が女を囲んでいるのは分かったが、その女の姿は男2人に隠されてよく見えなかった。
しかし詰め寄る男の1人が少し体をズラした時にミアの姿が見えた瞬間、体中の血液が煮えたぎるように沸騰した感覚がした。
男共を轢いてしまわないように直前で停車させて降りると、ミアの姿がよく見えた。
俺だと分かるとすぐに嬉しそうに名前を呼ぶ彼女が可愛いと思うと同時にその服装に気付く。
タートルネックのセーター。しかしそれは鎖骨と胸元が大きく開いていて日焼けしていない白い肌がさらけ出されている。
ほかの誰がどんな格好をしていようと構わない。
だがミアとなれば話は別だ。