【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
黒い大きなバイクに跨っているのはわたしの待ち人、バッキーだった。
彼はバイクを停止させて、その長い足でバイクから降りる。
あれ、バイクってヘルメットいらないっけ?と思っていると、そのままバッキーが威圧感満載で近付いてくる。
その威圧感に男性2人は「あ、待ってるのってこの人?」「すげぇかっこいい人じゃん〜」と小さく震えた声で言いながら少しずつわたしから離れていく。
最後はバッキーが2人を睨むようにして見るとヒィ、と言いながらそそくさとお店に入らずに帰って行った。
『おかえりなさい』
「…ただいま」
怪我はない?と聞きながら色んな角度でバッキーを見ていると、突然二の腕あたりを両側から固定された。
『へぁっ!?何?!』
驚いた顔のまま、わたしを固定するバッキーを見るとその眉間にものすごくシワが寄っていた。ほんとに何?
「…この格好は何だ」
『な、何って、、?』
「上着は」
『上着?無いよ?ニットだから店内暑そうだしいっかな〜って…』
これはケリーさんからの受け売り。聞いた話である。店内は音楽の機材だとかライトだとかで割と暑くなりやすいらしい。
そう言うと、バッキーはおもむろにジャケットを脱ぎ出す。
そしてその脱いだばかりのジャケットをわたしの肩に掛ける。
バイクで風を切って走ってきたのだろう、ジャケットの表面は少し冷えているのに、まだ彼の体温が残っていてかなり暖かい。
「暑くなるまでは着てろ」
『え?』
「そのスカートの丈は何だ?短すぎる」
『スカートじゃないよ。スコート。ほら、ズボンなの』
前面のスカートに見せている部分の布を捲って二股にわかれてズボンになっている部分を見せると、すぐさまその手を取られた。
捲っていた布が元通りにズボンを隠す。
『???』
「問題はそこじゃない。いや、そこでもあるが、」
バッキーの眉間のシワはなくならない。何ならさっきより深くなった気がする。