【MARVEL】This is my selfishness
第14章 12th
賑やかなネオンがお店が開いているのを教えてくれる。
店内は地下へと続いているようで階段が見える。
店先にライトがあるおかげで暗くない。
ただバッキーはまだ来ていなさそう。連絡もない。
どうしようかな。
1人でお店に入る勇気は無い。なんかもう入っていく人たちを横目に見ているとわたしとはもう性格もタイプも違うような人達ばかりで、すでに場違いな気がしてきた。ヒィ。
ライトの近くの壁に背を預けて、バッキーが来るのを待つ。
先に着いたって連絡しておこうかな。
そう思ってスマホをバッグから取り出した時、
「お姉さん、1人?待ち合わせ?」
「中、入んないの?」
2人の男性に声をかけられた。
その見た目のインパクトに口がポカン、と開く。
す、すごい!わたし初めて見た!なんだっけ、この髪型!
ああ、そうだ、モヒカンだ!すごい!黒から赤へのグラデーションが綺麗!
ワァ、2人ともピアスの数も開けている場所もすごい!
「もしも〜し」
心の中では大騒ぎ、しかし外側ではただ返事をしていないわたしの目の前にお兄さん達が手をヒラヒラと翳す。
お兄さんたちと言ってもわたしより年下かもしれない。わたしくらいの歳になってくると大体の若い人たちは自分より年下だったりするのだ。
いやはや、月日の早いことよ。
『あ、えっと、友人と待ち合わせてて…向かって来てるはずなんで、待ってるんです』
「え〜そうなんだ〜。でもさあ、外寒くない?」
「そ〜そ〜俺らと中入っとこうよ」
そう言いながら2人はわたしを挟むように距離を詰めてくる。
こ、これはもしかして、ただの厚意ではなくナンパというやつ?
初めてされた!
なんて返せば、と思っていると男性の1人がわたしの腕をなぞるようにして手を取る。
う、うわぁ、どうしよう、いよいよやばい、
ブォン!
焦り始めた瞬間、黒い大きなバイクに乗った人がすごい勢いでわたし達の目の前(いや、お兄さん達には後ろかな)に停まった。
バイクを停めたその人が顔を上げてこちらを見る。
あ!
『バッキー!』