【MARVEL】This is my selfishness
第13章 11th
「あまりラブストーリーは観ないのか?」
『ん?ん〜観ないねえ』
導入部分が始まって、バッキーが言う。
もしかしてラブストーリー系が良かったのかと思って聞いたら「そういうわけじゃない」と首を振った。
「あー…俺の偏見というか経験上、女はそういうのが好きかと」
何かを思い出すように言う。過去の女性たちかな。
『わたしもそういう人多いイメージかも』
映画館でもやっぱりラブストーリー系の方が女性の割合が多い気がする。でもわたしのようにミステリー系が好きな人も少なからずいるからわたしのような趣味の人が少数派なわけでもないと思う。
『ラブストーリー系はなんかこう、、、ムズムズする?かなあ。わたしはワクワクとかスリルのドキドキが好きなのかも』
『アクションものとかの動きもかっこよくて好き』と言うと、ご飯を口に運んでいたバッキーが「俺のほうが動ける」と謎の張り合いをする。
『うん、今まで見た人達の誰よりもかっこよかったよ』とパーティーの日のことを思い出しながら言うと、一瞬固まったけれどすぐに「まだほんの一部しか見せてない」と肩を竦めた。
「俺が本気出しているところをミアに見られるとしたら確実に何かに巻き込まれてるな」
「そんなことになるくらいなら一生見せる機会無くていい」と頭を振る。
確かに見てみたいけど、何かにまた巻き込まれるのは勘弁したい。わたしがいることでバッキーの邪魔になるのはもう嫌だ。
夕飯を食べ終えて、映画の中盤に差し掛かってきた頃。ザァーという音に窓を見る。
『あ。雨』
いつの間にか雨が降り始めていた。
「さっきから降ってた」
「余程観ハマってたんだな」と彼が笑う。
まだ中盤だけど、これにしてよかったと思える映画で画面に釘付けになっていた。
『雨の音って良いよね』
「そうか?」
『うん…外にいると「わ〜大変だ〜」ってなるけど家の中だとなんか落ち着く』
豪雨じゃなくてね、と付け足す。豪雨は家の中にいても不安になるから。