【MARVEL】This is my selfishness
第13章 11th
『星を眺めてる時と同じくらい、静かで穏やかな感じがして好き』
そう言いながら、バッキーのほうを見ると、バッキーは窓の外ではなくわたしを見ていたのか、目が合った。
『好き』というところで俺のほうを見るのは反則だろ。自分のことを好きと言ってくれたのかと思ってしまう。
窓の外の雨が降る様子を見つめるミアの横顔が綺麗だった。
その穏やかな視線の先に映るものはただ雨が降っている街、それだけのはずなのに。
彼女がいれば、何気ない日々が美しく感じる。
星を眺めるのも、雨が降る景色も。
自分の目にはただ星がある、ただ雨が降っているだけなのに、彼女の話を聞くとそれらが尊く綺麗であることのように感じられる。
ミアの感性が好きだ。
ミアが言うと納得出来る。
今だってただ雨が降っている、と頭の隅で思っただけの事だったのに、もう違うものに見えてくる。
ミアと出会って増えた好きなものは全てミアに関係するものばかり。どれだけ彼女が俺に与えてくれているか、それがどれだけ俺の中で価値があるか伝える言葉が考えつかない。
だからせめて、君と同じ言葉で俺も言おう。
「俺も好きだ」
窓ではなく、ミアの目を見て言うと、時間が止まったようにミアが固まる。
そしてみるみる顔が赤く染っていく。その赤は首にまで広がって、何かを言いたそうに彼女が口をパクパクと動かす。
『あ、あぁ〜バッキーも?あは、一緒だね』
顔を赤くしたまま、ぎこちなく笑いながら視線をテレビ画面に戻す彼女の動きは忙しなく慌てているようだった。
その反応に期待が高まる。もしかしたら彼女の中で俺を男として意識するようになったんじゃないかと。
これで少しでも伝わればいい。悩んでくれたらいい。
俺が言った【好き】が雨に対してか、それとも違うものに対してかを───────……
To be continued...