【MARVEL】This is my selfishness
第13章 11th
階段を上がりながら、【月曜日のお茶会】の話をする。
『今日はお茶会やめとこうかなって。日付が変わる頃に雨が降るみたい』
「そうなのか?そう言われてみれば雲が多くなってきてたな」
『ね。あ、でも屋上に行かなくても部屋ですればいいね』
屋上でするのは星を見ながら、という目的があるからであって、【月曜日のお茶会】は別に屋上じゃなきゃいけないわけじゃない。
『来る?』
階段を上がりきって、バッキーの部屋の前で聞く。
『なんなら夕飯も一緒にどうですか?』と聞くと、「行く」と即答してくれた。
夕飯は2人で料理する。
いつぞやのように、バッキーが食材を切ってわたしが味付けをする。
彼が刃物の扱いが上手なのはウィンターソルジャーだったからなのか、それ以前にそもそもが軍人だからなのかは分からないけれど、スパスパと軽やかに食材が切られていくのは見ていて面白い。だからこの前は横から見ていたけれど、今回は正面に回って見てみた。
「面白いか?」
『うん、すごく。そういうパフォーマンスを見てるみたい』
華麗な包丁さばきについ口が開いたままになってしまうほど見入っていたら、バッキーが笑いながら聞く。すごい、包丁を扱いながらこんなに余裕があるなんて。よくその速度でわたしの方を見れたなあ。
2人で味見をしながら出来た料理を運んでテレビをつける。
今日は気になった映画を観てみよう。バッキーにも何か観たいのあるか聞いてみたけれど、「君が観たいやつ」と言われてしまったのでわたしチョイス。
タイトルやあらすじでなんとなく『これ!』というものをつけて最後までちゃんと観る、というルールを自分で決める。
そうやって決まったのはミステリーもの。
ミステリーものはよく人が死ぬ。誰かが死ぬところから謎は始まる。
誰かが死ぬのはフィクションの中だけでいいと思っているから、実話に基づいた悲しい話はあまり観ない。