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【MARVEL】This is my selfishness

第13章 11th





結局、服の支払いはケリーさんがしてくれた。
ブラとリップに関してはわたしが自分で支払うと人目もはばからず喚いたため、なんとか自分で支払うことが出来た。それでもケリーさんが払ってくれた服代より安くて申し訳なさは拭えない。


『うぅ゙……ほんとに、ほんとにありがとうございます』

ヒシッ、と買ってもらった服が入った紙袋を抱きしめる。
「そんなに抱きしめたらシワがつくわよ、」と言われ即座にやめる。


「私がしたかったのよ。なんだか久しぶりに楽しいお買い物だったし。誰かの恋を応援するの、好きなんだわ」

『…ケリーさんは今好きな人とかっていないんですか?』


恋をするのが楽しい、ではなく「誰かの恋」。そう言ったケリーさんの表情は笑ってるようで悲しそうに見えた。
お店でトップクラスの人気を誇り、誰もが虜になる彼女。
けれど彼女自身は誰かに恋したりしないのだろうか?
わたしの話を聞いてくれるのはとても助かるし、こうやって誰かに好きな人の話をするのが楽しいと思えたのも嬉しいことだと思う。
だからわたしなんかでもなにか力になれることは無いかと思って聞いてみた。


「…そうね……。ずっと好きな人はいるわ」

『!そうなんですか?』

「けれど叶わないだろうこともずっと前から知ってるの」

『え…?』


ケリーさんは再びサングラスを掛けた。
詳しく聞きたいけれど、もしかしたら秘めた想いなのかもしれない。
彼女がわたしに「話してもいい」と思ってくれる日はくるだろうか?
わたしが彼女にするみたいに、彼女が誰かに相談したくなったときにわたしは力になれるだろうか?


「わたしは大丈夫よ。もう決めたから」



西日を背に振り返った彼女の表情はよく分からなくて、意思の強い声だけが分かった​───────












ケリーさんと別れ、1人帰路につく。
ケリーさんはHEAVENのキャストだけでなく、たまに「ちょっとしたモデルの仕事」もしているそうで、明日の朝早くから出ないといけならしく、夕飯はまた今度、ということになった。


……ケリーさんの好きな人かあ。
叶わないって分かっている人ってどんな人だろう。

もう相手がいる人、とか?
不倫、浮気は絶対ダメ派であれば「叶わない」認識になる。中にはそうじゃない人もいるようだけど…。




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