【MARVEL】This is my selfishness
第13章 11th
「……貴女たち、付き合ってないのよね?」
『え?はい…』
なにかおかしな事を言っただろうか、と首を傾げる。
バッキーがウィンターソルジャーだった、ということは話さなかった。もしケリーさんが知らなかったら、わたしが教えるのは絶対に違うと思った。あの話はわたしが軽々しく口にしていいものじゃない。
ただ、付き合ってないの?と疑問を抱かれるほど、傍から見てもわたしとバッキーは仲がいいのだと思われるのであればそれはそれで嬉しい。
「思ったより彼は奥手なのかしら?」
『??』
ケリーさんが呟いた言葉は彼女が口元に手を当てていたからか聞き取れなかった。特に返事が欲しいつぶやきではなかったのか、パッ、と表情を変える。
「そういえば、クラブに行くのは今日?」
『あ、いえ、明日の予定なんです』
「……じゃあこの後、時間ある?」
『はい、ありますけど…?』
そう答えると、ケリーさんが口角を怪しげに上げていたずらっ子のように笑った。
「ちょっと私に付き合って♡」
少しでも動けば見えてしまう背中とお腹にソワソワする。
『ほ、本当にこれサイズ合ってます?』
「ぴったりよ」
鏡を見て自分の姿に戸惑う。
タートルネックのセーターのデコルテ部分は大きく開いていて、銃口で軽く火傷した場所が見えるんじゃないかとヒヤヒヤする(もうほとんど痕は残ってないけれど)。
しかも丈が短く腕を上げれば服もついて上がると同時に背中とお腹が見えてしまう。しかし袖は『丈に持ってきてくれたらいいのに、』と思うほど長めで指先だけが出る。タイトな作りのアイボリー色のセーターだ。
そして下は前から見ればミニスカート、後ろから見ればズボンな黒のスコート。
そう、わたしは今、ケリーさんの着せ替え人形になっている。
「靴は今履いてるメリージェーンでいいから。新しいのを履いて行って靴擦れしたら大変だもの。あ、靴下は短めのにしてね」
『…はい』
「あら、なにかご不満かしら?」
『いえっ、そんな!…強いて言うならスースーします……』
タイツも履かずこんな短い丈を着るなんて、部屋着以外しない……。