• テキストサイズ

【MARVEL】This is my selfishness

第13章 11th




『っ、ば、バッキー?』

「ん?」

『近くない…?』

「ああ、店内が暗いからか見えづらくてな。老眼かも」


少し顔を横に向けるだけでも鼻が当たってしまうんじゃないかと思うほどの距離に、決死の思いで聞いたのに当の本人はあっけらかんとしている。
老眼かもって。絶妙に『またまた〜!』と言いづらいジョークを入れてくる。

何も言えず、口を噤んでいるとカウンター側から声をかけられる。


「ミア、クラブに行くの?」

グラスを拭きながらアレックスが聞く。

『あ、うん、そのつもり。行ったことがなくて…』


正しくは一緒に行く友達もいなくて、だけど。
あと一人で行く勇気もなくて、かな。


『アレックスは?行ったことある?』

「うん、そんなにしょっちゅうじゃないけどたまにね」

『え、たまにって、行ったことあるがあるっていうよりも普段からって感じ??』

「そうだよ」

『じゃあじゃあ、この中で行ったことあるところとか行きつけ、ある?』


今度はアレックスの方へスマホの画面を見せる。
アレックスは「ここ…と…ここかな〜。あとは​──」とスクロールしながら教えてくれる。
教えてもらったところをスマホ内のマーカーで印をつけていく。


「さすがロンさん。僕もおすすめの所だよ。お酒の作り方も上手くて踊らなくてもバーだけで楽しめるよ」

『そっか!ありがとう』


ロンさんだけでなく、アレックスからもお墨付きをもらったお店の中から選んでみようかな。

再びスマホをバッキーとの間に置いて『2人のおすすめの中から選んでみない?』と言うと、にゅっと後ろから伸びてきた手がわたしのスマホを奪って行った。
その手を追うように振り返ると、ケリーさんがわたしのスマホを見つめていた。


「なぁに、楽しそうな話してるじゃない」

ちょうどお客さんが空いたのか、ケリーさんはお客さんを連れていなかった。


『いま、おすすめのクラブをロンさんとアレックスに聞いてて』

「あら、クラブ行くの?イメージなかったわ」


目を丸くして驚かれた……!




/ 284ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp