第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
日もどっぷり暮れて虫が声が響く頃、私達は漸く動き出した。
足音を忍ばせて、塀の周りを手分けして調べていく。
木々が多いから隠れ蓑が多くて凄くやりやすかった。
調べた結果、刃物形が五つと起爆札が三つ、落とし穴二つがあった。
ここで、起爆札は回収しておいた。
結界の類は無かったから、ついでに私が中を偵察する事に。
こういう時に写輪眼って便利だね。
中を覗かなくてもチャクラで分かるもの。
大きいテントに一人。ボスかな?
周りにある小さなテントにニ人、一人、二人と五人。
入り口に一人。
合計で七人だ。
「霧大丈夫かな?」
いくらユウが水遁系だからといって、上忍と肩並べられる実力かって言ったらそうではない。
最悪、霧が吹き飛ばされましたなんてことには…。
「俺がフォローするよ。」
スケアさんが請け負ってくれるらしい。
とりあえず一安心。
「んじゃ、ユウ。いける?」
「おう。」
彼は答えると素早く印を組んで霧を出す。
いい感じに広がっていき、辺りは白い霞に包まれた。
「んじゃエニシ、いいか?」
「オーケー。」
返事をして、変化する。
そして、みんなで影分身を罠の数分出して配置する。
「いくぞ。」
トウキが狐火を飛ばして、それを合図に罠が発動し異音が響いた。
中が少しざわついたところで、私はゆらりゆらりとゆっくり歩きながら入り口へと近づいていく。
「だ、誰だ?」
異様に映るんだろうね。
見張り役の声が少し震えていた。
「…たすけて…。」
出来るだけ聞き取りづらく小さく呟く。
「あ…?」
見張り役は後退りしながら、一歩、また一歩と下がる。
こちらもゆらりゆらりと歩を進める。
「…た、すけ、て…。」
「ひぃっ…!」
今度は聞こえたらしい。
腰を抜かしそうになりながら奥へと逃げていく。
…ダメよ、堪えなきゃ。
ここで笑ったら台無しになる。
ちょっと深呼吸。
すー、はー…、よし。
「…おい。」
ユウの小声が聞こえて、ぎくっとなった。
「さーせん。」
とりあえず、小声で返して中へと入っていった。