第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
スケアさんは私を見てくすりと笑う。
「互いの意図くらいは読めるからな。共闘は出来るんだよ。だけど、肝心なところで足の引っ張り合いになったり、細かな見落としやミスが起こる。」
そりゃそうだろうなって納得してから、ふと思った。
これって前世の感性なんだって。
集団行動当たり前で、協力して何かやり遂げようってのは常識だった。
寧ろ、個人プレーやはみ出し者は叩かれるし弾かれる。
んじゃ、何でそんな私に二人は合わせてくれてるんだろうって思った。
この世界って、思えば個人プレーの方が当たり前なんだよね。
だってゴール決めた人が一番讃えられるし褒賞だって上がる。
山分けより独り占めの方を取る方が断然多い。
縁の下の力持ちなんて流行らないんだよね。
不思議そうに見ると、トウキは照れた様にふいっと顔を背けて、ユウは困った様に笑う。
「もし、俺達が個人プレーに走ったらお前下忍辞めるんじゃないか?」
ユウの問いに、確かにと納得する。
だって、元々飛び級は望んでなかったわけで。
一人でやるんだったら今やらなくてもいいよね、って話になるわけじゃん?
「トウキはともかく。俺はお前と下忍やってた方が得る事多いし、他を尊重する姿勢って嫌いじゃないぜ。実際、お前の実績の方が多いと思うのに、お前は班の功績だからって褒賞を山分けするだろ。」
「そりゃだって、三人で積み重ねた結果だから。」
「そういうとこだよ。普通は自分の実績を誇示するもんだぜ。
だからこそ、この班で連携強めて…。俺っていう歯車があってトウキやエニシの歯車があって回っていく。こういう経験って今しか出来ないだろうなって思ってる。」
「…何だか大袈裟だな。」
私は少し照れ臭くなって頬をかく。
「いいな、そういうの。」
スケアさんは優しげに微笑んだ。