第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
「…そうか、その可能性もあったな。」
「制圧もしなきゃならないんだろ?」
「そうだな。」
スケアさんが答える。
「んじゃ、逃がさないように確実に外で待ち構えてなきゃダメか。」
「とすると、一斉に追い出さなきゃダメじゃない?」
一人、二人と逃げられたら、私が仕込みだってバレるよね?
バレたら中で乱闘になる。
それこそ、人質の可能性も高くなる。
「…バラバラに逃げられたら厄介か。」
私達は一緒にうーん、と首を捻った。
「タイミング良く近くで爆発が起きたら驚かないかな?」
「例えば?」
「さっきので、一番怖かったポイントってどこ?」
恐怖が一番最高潮に達したところで、いきなり大きな音が起きたらびっくりすると思うのよ。
そう思って聞いてみると、二人は嫌そうな顔で、
「「目。」」
と答えた。
「じゃさ、最初は顔隠して侵入するから、顔ががばっと晒されたところで、入り口の反対側から起爆札を爆発させるのはどう?」
「あぁ、それいいかもな。」
「それってさ、誰かが一緒に入らないとダメだよな?」
「そうだね。でもさ、二人と二人に分けたら挟み撃ちも出来そうじゃない?」
「それって格下相手の場合だろ?」
「だとしても、霧で視界は悪いし多分パニックだろうし。そんな状態でまともに戦えないでしょ?その点こっちが有利とみていいんじゃない?」
それを聞いて二人の肩の力が少し抜ける。
「…まーな。でも油断は禁物だぞ。」
トウキの言葉に私はもちろん、と頷く。
「分かってますって。」
私達は諸々確認し合ってスケアさんを見ると、彼は少し笑みを浮かべていた。
「じゃ、俺とトウキで外で待ち構えて、エニシとユウで中から挟み撃ち、でどうだ?」
「異論ありません。」
トウキの答えに私達も揃って頷く。
それを見て、スケアさんは満足げに頷く。
「日が暮れてから下調べに入るぞ。」
「「「はい。」」」
私達は気を引き締めた。