第13章 変わりゆく日常と濃くなる影
幾つか怪談話をお互いに話し合って、案を出し合う。
怪談は知っていた口で、五割くらいが私が出した案だった。
一番効果があった話が、峠に立っている女の人の話で。
人気のないバスの待合所があって、深夜になると必ず髪の長い女の人がひっそりと立ってるんだって。
真っ白なワンピースに真っ白な靴。
少し俯いてて、その長〜い髪で顔を覆い隠してるから全く見えない。
で、下手に声をかけると、そのまま着いてきちゃって、崖下に誘われて死んじゃうって話。
容貌は異様なのに、話し出すと気にならなくなって、なんだったら仲良くなっちゃうから、異様だと思わなくなるんだってさ。こわっ。
それを今風にアレンジしたの。
「…それ、実話じゃないよな。」
「…峠って…、どこの峠だよ。」
「さぁ…、どこの峠なんだろうね。」
「「……っ。」」
引き攣る二人の顔の面白いこと面白いこと。
一緒に聞いていたスケアさんは飄々としていた。
ちぇっ、つまんないの。