• テキストサイズ

もう一度、を叶えるために。first

第13章 変わりゆく日常と濃くなる影



焼かれている身体より、心が痛いんだ。
こんな別れ方ってないよ…。
二人はまるで二人で一つだったのに。
二人でいることが幸せだったのに…。
天界を乱したことなんてない。
誰かを惑わした事も力を奪った事だってない。
ないのに…。
誰も分かってくれない。
聞いてくれない。

どうして?って思いだけが泥の様に溜まっていく。
私が何をしたの?って絶望や失望が沸々と湧き上がる。
だけど、それらを凌駕する質量で、想い人にもう会えなくなる悲しみが身を裂くような痛みとなって全身を取り巻く。

いつの間にか、視界はゆらゆらと炎の揺らぎで覆われていて、周りははっきりとは見えなくて。
やがてゆっくりと昏くなっていき、最後には何も見えなくなった。
けれども、何も分からなくなる中で、ズタズタに引き裂かれた心の痛みだけは、いつまでも消えることなく残った。








ふと目が覚めると、辺りは真っ暗。
ぼーっとしながら、はて?と思い出す。
修行が終わって、兄ちゃんにおぶられて…?
いつ帰ってきて布団に寝かされたのか、全く覚えていない。

そして、枕が冷たくなるほど泣いていたらしい。

何の夢を見たんだろう…?
何も思い出せない。
こんなに泣くくらいだから凄く悲しかっただろうに。
なのに、びっくりするくらい微塵も思い出せない。

でも、もっとびっくりすることに、それ以来ぴたっと悪夢が止んだよね。
今までのあれは一体何だったんだろう?

/ 662ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp