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もう一度、を叶えるために。first

第13章 変わりゆく日常と濃くなる影



考える前に答えが出た。
突然場面が切り替わり、その人は数人の天使に乱雑に引っ張られ、引き摺られる様に何処かへ連れて行かれる。
屋根のない何かの神殿の様な場所で、大勢の侮蔑の篭った冷たい目を向けられている。
その中央に無理やり跪かされ、目の前にいる偉そうな人達が何かを読み上げていく。
知らない言葉なのに、不思議と何を言ってるのか分かる。
“天界の序列を乱し、最高位の天使を惑わし、その力を我が物としようとした罪により、罰を下す”、と。
その罰は、”羽を切り落とし、聖炎で穢れを落とした後、人界へと落とし、哀しみと怒りに満ちた一生を百度繰り返した後、その魂を原初の海に戻す”、と。
原初の海とは、そこに漂う自然のエネルギー。空気みたいなもの。
つまりは、生まれることも死ぬこともない、完全なる無になる事を意味する。
天使にとっては重罰で、最早呪いだ。

その人は背の羽を数人に取り押さえられると、乱暴に毟り取られ絶叫を上げる。
…相当痛いんだろうな。
それに構う事なく、突然その人は炎に巻かれ始める。
本当に一瞬でその人だけが炎に包まれた。
ふと気づくと、さっき見た銀髪の人が呆然と立っていた。
誰かに取り押さえられながら。
動きたくても動けないみたい。
その人は炎に塗れた手を伸ばしてるけど、全然届かない。
伸ばす先からボロボロと崩れていっている。
凄く…、凄く苦しそう…。
だけど、その気持ちが何故だか痛いほど分かって、胸を掻きむしりたくなった。

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