第7章 総長と参謀
緊急招集ってワケじゃないけど、集会の前に臨時の幹部会議を行う。
「話ってなんだよ、マイキー?」
場地に本題を訊かれ、マイキーは口を開いた。
「参番隊に、新しい隊長を迎える事にした」
「!」
唐突に発されたマイキーの言葉に、隊長達は目を見開いて驚愕する。
アタシは事前に連絡しようと思ってたけど、マイキーに「オレから直接話す」と言われたから、結局伝えなかった。
だから、新・参番隊隊長任命の話は彼らにとって寝耳に水で、驚くのは当然の事だった。
「あン?」
「新しい隊長…?」
「そりゃまた、急な話だな……」
「………」
訝しむスマイリー、眉間に皺を寄せる場地、チラッとドラケンに視線を向ける三ツ谷、無言でマイキーを見るムーチョ……
アタシは、各々の反応を示す隊長達の様子を見回した。
「誰に任せんだ?ペーやんか?」
「違ぇだろ。……もしそうなら、オレは反対だ」
スマイリーとムーチョの会話に、アタシは「いや…」と口を開いた。
「参番隊隊長には、元〝愛美愛主〟幹部・稀咲鉄太を就ける」
「「「⁉︎」」」
「愛美愛主…⁉︎」
隊長達の二度目の驚愕は、こめかみに青筋のオマケ付き……やっぱり怒るよね。
アタシはマイキーより一歩前に出て、隊長達に向かって説明する。
「稀咲は、愛美愛主でH2・H3世代を纏めてた男。その部下50人を東卍(ウチ)に入れる代わりに隊長にしてくれと要求されて、アタシはそれを飲んだ」
「……んで」
ザッザッ
「!」
ガシッ
地面を強く踏み鳴らし、場地がアタシに迫った。
「何で稀咲を引き入れやがった‼︎」
場地から強く掴まれた肩に痛みが走り、アタシは顔を歪める。
「場地…!」
「いいから!」
場地をアタシから離そうとするドラケンを、アタシは片手を上げて制止した。
そのまま、真っ直ぐに場地の目を見つめる。
「……芭流覇羅に勝つ為だよ」
「あ?」
「参謀(アタシ)の仕事は東卍を勝たせる事って、前に言ったの覚えてる?」
アタシは、ハッキリと声を張る……場地だけじゃなく、三ツ谷やスマイリーやムーチョにも分かって貰いたいから。