第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
次にレイナに会ったのは、数日後
場地の葬式の時だった
それほど広くない斎場の隅に
彼女はポツンと立っていた
「……スイマセン……オレ、ちょっと行ってきます…」
千冬が
一緒に居た俺達の側を離れ、レイナの方へ歩いていく
2人もまた
場地を通して知り合ったのだろう
場地のことを心から慕い、敬愛していた千冬なら
きっと自分なんかより何倍も上手に彼女の悲しみに寄り添ってやれるだろうと
俺は少しだけホッとした気持ちになった
(……後で…あの夜のことをちゃんと謝ろう…)
許してもらえないかもしれないけれど
このままでいる訳にはいかなかった
彼女がひとりになったら声を掛けようと
俺はその機会を待った
千冬は
式の間中ずっとレイナの横についていた
火葬場に移動してからは
場地との親しい関係を知っているドラケンや三ツ谷が彼女を心配して側に呼んだ為
俺達は何も話をしないまま、アイツの最期を一緒に見送ることになった
火葬場を出た所で立ち止まったレイナに、千冬が聞いた
「…レイナさん…帰りのアシ、ありますか?……オレらバイクで来てるんで……もし、嫌じゃなかったら…送らせてください…」
『……ありがとう千冬……でも、大丈夫…』
レイナはそう言うと
オレの方へ身体を向けた
『……万次郎………送って、くれる?』
もう関わりたくないと思われているかも知れないと
心のどこかで覚悟をしていたので
彼女の方から声を掛けられたことが、とても意外だった
「………ぁ…………あぁ……分かった…」