第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
「………知…らない…………あんなの…オレじゃない……」
衝動のままに、彼女にしてしまった事を受け入れられなくて
無意識に呟くと
もう1人の自分の声が頭の中に響いた
《……本当ハ……ズット…コウシタカッタクセニ…》
「………違…う……………オレは……レイナのことを慰めたくて…」
《……嘘ツクナ……レイナが場地ノモノニナッタト思ッテ…嫉妬シタンダロ…》
「…っ…違う…」
《…ダカラ……チカラズクデ奪ッタ…》
「………ち…が……」
部屋を出て行った時のレイナの青ざめた顔を思い出して
胸がひどくざわついた
「……っ…」
震えを抑えるように膝を抱え
小さくうずくまる
俺は目を閉じ
彼女がしてくれたのと同じ強さで自分を抱きしめた
「…………レイナ……」
強く閉じた瞼に
さっきの場面がよみがえる
身体を繋ぐ瞬間
彼女は何を言おうとしたのだろう
今さら後悔しても
あの時のレイナは
もう
どこにも居ないのだった