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涼風の残響【鬼滅の刃】

第20章 強化訓練と育手


不測の事態により伊黒邸に長らくお世話になったものの、風音は無事に帰路につくこととなった。

軟膏の存在はさて置き、怪我の手当てを嫌がらず施してくれ、笑顔で励ましてくれる存在が居なくなることに剣士たちは涙を流した。
その隣りで機嫌悪く顔を顰めている小芭内によって昨日より厳しい稽古が予想される。

だからといっていつまでもここに滞在するわけにはいかないので、風音は改めて礼を述べて屋敷を後にした。
そして現在はあと少しで実弥の待つ不死川邸へと到着するところまできている。

「おはぎも買ったし剣士の皆さん用のお煎餅も買えた。伊黒さんのお稽古も厳しいけど、負けず劣らず実弥君のお稽古も厳しいから少しだけ息抜きになればいいね」

「ソウデスネ!キット皆サン喜ンデクレマスヨ!……アラ?不死川様ノオ屋敷カラ剣士ガ……」

腕に抱いた楓が顔を向けた先、不死川邸を囲む塀の上から二人の剣士が姿を現した。
……門の中から出てくるならば合格者なのだろうかと思えたが、塀の上から飛び出してくるなど普通ではない。
しかも表情が必死の形相なので風音の頭の中は疑問符だらけである。

「本当だね、どうしたんだろ?あの!どうしましたか?もしかして実弥君の身に何か……?!」

そしてその表情のまま天からの助けを見つけたと言わんばかりに物凄い勢いで走り寄ってきて、風音の言葉を奪いそれぞれが風音の足にすがり付いてきた。

「柊木さんー!た、助けて下さい!し……死んでしまう!吐血しても倒れても容赦してくれない!このままじゃ」

「本当に死んでしまう!柊木さんの稽古したい!」

剣士たちの顔は涙と鼻水、そして実弥の稽古でついたと思われる小さな傷でグズグズになってしまっている。
どうしたものか……と悩んだが、風音が元気をなくしている時に実弥がしてくれるように、笑みを向けて頭を撫でてやった。

「落ち着いて。実弥君は誰よりも優しい人だから無意味に厳しくなんてしません。総力戦があることはご存知ですよね?私たち柱で被害を最小限に抑える心積りですが……皆さんの助けは必ず必要です。鬼を倒すため、ご自身の命を守るために頑張りましょう?実弥君も貴方たちに死んで欲しくないんです、ね、実弥君?」
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