第5章 【第四講 前半】野球の話は後半から。
登校時刻を過ぎ、○○は数人の風紀委員、教師等と力を合わせて正門をきっちりと閉じた。
「初仕事、ご苦労だったな」
「近藤さん。お疲れ様です」
○○は風紀委員長にお辞儀をする。
近藤は学校周辺の見廻りを行っており、戻って来た所だ。
「問題はなかったか」
「特段には」
○○は頷く。
「問題があったとすれば、うちのクラスの生徒だけです」
桂を皮切りに、○○は数人の生徒に手を焼いた。
それはさっちゃん、ハム子、ヘドロ、神楽と、全員が3Zの生徒だった。
近藤は苦笑する。
「うちのクラスは曲者が揃っているからな。お、トシ。ご苦労だったな」
そこに裏門で任務にあたっていた土方が合流した。
「そっちはどうだ。問題はなかったか」
土方は生徒手帳を取り出し、本日の取り締まりを報告する。
「校則違反者、十七人だ」
土方の言葉を聞き、○○は眉をひそめた。
「そんなに?」
正門を通った人間に違反者は見当たらなかった。
裏門を使っている生徒に偏るのはおかしいだろう。
「お前、ちゃんと見てたのか?」
人を見下す視線を土方は○○に向ける。
○○は眉間に皺を寄せる。“ちゃん”付けも不愉快だが、お前呼ばわりはムカっ腹が立つ。