第2章 【第二講】第一講から遡ってる(略)番外編みたいなもんだから
「私は誰ですか」
「……え?」
「何で私は銀魂高校を受験したんですか。何であの日、私は高校に来ようとしていたんですか」
何で何でと、矢継ぎ早に飛ばされる質問。全て、○○自身のこと。
近藤は両手のひらを前に出し、それを止める。
「え、ちょっと待って。いくら何でも、君のプライベートまでは知らんよ? 何でもというのは、この高校のことだけで……」
その途端、○○の表情が激変した。
「じゃあ、何でもとか言うなよ。この嘘つきヤロー」
人を卑下する真っ黒い目を、○○は近藤に向ける。
いうなれば自分は命の恩人のはず。さらに好意を仇で返され、近藤は机に突っ伏す。
その目に涙が浮かんでいたかどうかは、誰にもわからない。
「どういうことですか?」
メガネを丸くし、あ、そりゃ元からだ。目を丸くし、新八は疑問を投げかける。
銀八はダルそうに鼻をほじりながら応えた。
「アレだよ、アレ。記憶喪失」
「記憶喪失ゥゥゥ!?」
また面倒臭い設定の子がクラスに来たなと、新八は声を荒げる。
「入院してた二年間ってのも、意識不明での入院だったんだぜ、すげーだろ?」
なぜか銀八は誇らしげな顔をする。ドヤッ。
「いや、知りません」
「出身の中学なんかは書類があるからわかるが、□□自身の記憶には一切ないらしい」
うんうんと、○○は銀八の横で頷いている。