第2章 【第二講】第一講から遡ってる(略)番外編みたいなもんだから
「覚えてないか? 総悟!」
近藤と、沖田総悟である。
学ランの下に、Sと書かれたTシャツを着こなす、茶髪の少年。
沖田はすでに暇になり、何のためか藁で人形を作っていた。
○○に目を向ける。○○は意味もなく、Vサインを沖田に示す。沖田は首を傾げた。
「あの時の女ですかィ? 顔は覚えてませんねェ。俺ァ、女の体から滴り落ちる、ドス黒い血にしか興味なかったんでね」
沖田は目を細め、口角を吊り上げた。
怖ェ! とクラスの何人が思ったかは定かではない。
が、一番ビビったのがヘドロだったんじゃないかというところも、定かではない。
ヘドロも怖ェ!
「無事だったんだな。よかった、よかった。白目引ん剥いてたから、ひょっとして死んじまうんじゃ、というか死んでるんじゃないかと思っていたが……」
両手を拱き、近藤はうんうんと頷いている。
「これも何かのよしみだ。わからないことがあったら、何でも俺に聞くといい!」
「テメェ、学級委員気取りですか? 誰がゴリラに物教わるかよ。人間様ナメんなよ」
銀八は眉間に皺を寄せるが、言われている当人はまんざらでもない様子。
銀八の手を口からどけると、○○は近藤に聞いた。
「本当に何でも教えてくれるんですか?」
好意的な○○の様子に、近藤は親指を突き出して笑顔を向ける。
ウインク付き。これが妙に向けられたものであったならば、即座に何か硬いものが顔面に飛んで来ただろう。
「何でも聞きたまえよ、お嬢さん」
鼻高々。
大船に乗ったつもりで任せんしゃいと、近藤は胸を張る。
しかし、○○の口から問われた内容は、近藤の考えていた範疇を超えていた。