第11章 【第七講 後半】酸いも甘いも苦いも辛いも青春の一ページ
「あ、寝てる」
見れば、山崎がスース―と寝息を立てていた。
「沖田くんといい、勿体ない」
山崎の横では、沖田が人をおちょくったようなアイマスクをつけて眠っている。
聞いた所では、席についた早々に寝たそうだ。
「まァ、昨日は確かに疲れたからね」
せっかくの修学旅行なのにと思うが、致し方のないことだとも思う。
昨夜、ちょっとした事件があった。
大阪にいた頃に花子がつるんでいた男達がガラの悪い連中で、彼等との間で一悶着あった。
最終的には3Zの生徒全員が花子に力を貸し、奴等を成敗するに至った。
「江戸時代にタイムスリップは出来なかったけど、アレはアレで楽しかった」
昨日は、妙、神楽と某江戸時代風施設に向かう予定だったが、新八、花子によって持ち込まれたこの件のせいで訪うことが出来なくなった。
それに関しては残念だが、なかなか経験できないエキサイティングな夜になった。
「こんなに役立つなんて思わなかった」
○○は手に抱えたものを握り締める。
「本当に有象無象の悪たれ達が跋扈してた」
土方は呆れ顔でその細長いものに目を向ける。
「□□、その竹刀よく持ち込めたな」
行きは竹刀袋に入れられていたが、今は丸裸の状態。
物騒な上に、先っちょにさらに物騒なシミを見つける。
「その赤いもんは……血か?」
昨晩、○○は関西の男達をギッタバッタと薙ぎ倒していた。
「ケチャップじゃないの」
「んなもんがつくか」
「あ、そうか。フランクフルトの棒として使ったんだった!」
「嘘つけ!」