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~セーラー服と銀八先生~ 銀魂3Z沿い小説

第11章 【第七講 後半】酸いも甘いも苦いも辛いも青春の一ページ


 修学旅行最終日。
 帰りの新幹線の中、○○は正面に座る男の顔をガン見していた。

「せっかくの修学旅行なのに、陰気な顔しないでよ」

 山崎の表情はどんよりと曇っている。

「もう、疲れちゃって……」

 初日の夜はクラスメイトの不純異性交遊(後で勘違いと判明)を目撃してしまった挙句に階段から落下。
 翌日は望まない班員にパシリにされ、罰ゲームの如くに荷物を持たされた挙句に腰痛が再発。
 さらに翌日、昨夜は突然、舞妓の格好をさせられた挙句に喧嘩に放り込まれた。腰痛も再発。
 ようやく落ち着いて座っていられるが、長時間座っているのも腰が痛い。

「家に帰るまでが修学旅行よ!!」
「つーか、お前は何でここにいるんだ」

 ○○の隣で手をこまねき、土方は眉間に皺を寄せている。

「近藤さんが変わってほしいって言うから」

 元々、○○は妙の隣の席だったが、座席を花子に譲った。
 花子は○○の後ろの列で、桂の隣席だった。
 最近大阪から転入してきた花子はクラスに馴染めておらず、外れ者になっていた。
 そのため、同じく外れ者の桂と、余り者同士で座ることになった。
 時々、後ろで桂が花子に会話を振る声が聞こえていた。

「大阪ではお好み焼きをおかずにご飯を食べるというのはまことか?」
「ホンマや」
「道頓堀川に飛び込んだことはあるのか?」
「ないわ」
「カーネル・サンダース翁はお元気か?」
「知らんわ」

 ○○の眉間がピクピクと動く。
 昨夜、ようやく花子が3Zの一員となれた感があったというのに、このままではまた溝が生まれてしまいそうだ。
 花子が3Zのクラスメイトに心を開くきっかけとなったのは、妙だった。
 ここはひとつ、妙の隣を譲り、親交を深めてもらおうと○○は立ち上がった。

 かといって、桂の隣は○○にとって地獄だ。
 誰か席を変わってくれないかなと動いた所、声をかけるまでもなく近藤が手を挙げた。
 花子がいた席は妙の真後ろで、ストーカーとして願ったり叶ったりの席だった。
 近藤は常に妙の近くにレーダーを張り、○○の挙動も敏感に察知していた。

 座った早々に妙にバレ、即座に血祭りにあげられていたが、それは○○の知る所ではない。
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