第10章 【第七講 前半】修学旅行のハプニングはベタ中のベタでよし
「いて!」
だが、枕が当たったのは隣のゴリラ。
「近藤さん、ヒ~ット」
「ずりーな、□□!」
「フェイントよ、フェイント」
ここは戦場。命がけの戦いの場。
たとえ卑怯な手を使ってでも、勝利を狙う、情けは無用。
「この!」
近藤から名もなき風紀委員その一へ、名もなき風紀委員その一から○○へ、○○から名もなき風紀委員その二へ、名もなき風紀委員その二から沖田へ。
枕はポンポンポンポンと渡る。
「いて!」
「またまた近藤さん、ヒ~ット」
○○に続いて、近藤は名もなき風紀委員その三にヒットされる。
「クッソー!」
連続で命を削られた近藤は、
「ぶわはは! これなら俺を刺すことは出来まい!!」
掛け布団を広げて身を守る作戦に出た。
「じゃあ、こっちは!!」
○○は広縁との間の障子の後ろに身を隠す。
「ぶわはは! こっち狙ってみろ! 障子破ったら、弁償だぞ!!」
まさに完全無欠。
と思われたが、盲点があった。
「アレ? ネェ、ちょっと、無視?」
枕が一切飛んで来なければ、攻撃に転じることも出来ない。
障子代の弁償など御免被る。とりあえず、○○は後回し。○○を除く男子達は白熱のバトルを続けた。
「ちょっと! こっちにも投げなさいよ!!」
バトルに参加しているはずなのに、○○は完全なる蚊帳の外。